スペシャル



…12月12日 「この男。」舞台挨拶&ティーチンが行われました!…


登壇者:山本蒼美監督 酒井プロデューサー
司会:CWF落合





落合:
まずはツイッターでお寄せいただいた質問なんですが、『登場人物の名前はいつもどうやって決めてらっしゃるのでしょうか。なぜこのような名前にしたのか、由来とかあったら教えてください。』という質問が来ています。

山本:
はい、宇宙人の方は、有川とシロはすごい単純で、私が好きな名前なんですよね。

落合:
単純に好き(笑)

山本:
単純に好きなんです、好みです。で、カカシはポツーンと畑の中心で一人カラスと戦うっていうのが、世界で一人だけで宇宙人と戦うイメージと合って、寂しい感じでカカシっていう名前をつけて。人魚の方はどんどん名前変わっていって、最初は洲(しま)はヨシノって名前だったんです。でも、それで友達に見せたら、ヨシノは桜だから山のイメージ。だから、もっと海っぽい名前がいいよって言われて。で、実は今回洲の友達にも全部名前がついていて、全員名前に「さんずい」がつくんですが、洲もしかりで。「さんずい」の名前を決めるときに、洲って漢字は、「さんずい」を書いて、「州(しゅう)」と、川に点々が入ってるんですけど。

落合:
ちょっと変わった名前ですよね?

山本:
そうそう。なんで「洲」にしたかっていうと、その漢字がすごい気に入って。「さんずい」がついてて、しかも川…字体を見ると、すごいはらうんですよ。だから全部の幸福とかが流れ出ちゃいそうな幸薄そうな名前だよねっていう(笑)

落合:
それは不憫ですねぇぇ(苦笑)

酒井:
ちょっと親にモノ言っとかないといけないですねそれ(笑)

山本:
超寂しそうな名前だよねって「洲」に決めたんですけど(笑)でも逆に「洲」っていう漢字の意味をみると「中洲」とかに使うんですが、そうすると「州(しゅう)」って漢字の方は人が集まってくる。中心地になって人が集まってくる。っていう名前にもなるので、親は人が集まってくるようにって愛して名前をつけたけど、でも字面だけみると全部流れていきそうな可哀想な名前だよねということで、洲に決まりました。

落合:
そうですね、中洲…洲(す)とかだと、川の集合した合流したところを指しますからね。

山本:
そうそうそうそうそうです。だから洲の名前も、前半は全部寂しそうな字面の通りだけど、後半は人が周りに集まってくるような、本来の名前の意味になったと思います。

落合:
あああああ

山本:
イサキは…イサキは響きが良かったので。

落合:
音の?

山本:
音の。魚の名前をもともとつけようと思って、だから何がいいかって悩んだ時に、最初、サンマとかマグロとか言ってたんですけど

落合:
マグロ??マグロってどうなんですかね(笑)

酒井:
つかなくてよかったですねー!(笑)

落合:
マグロ…「マグロさーーん!」とかどうなんでしょう

(会場笑)

山本:
そうそうそう、そうなんですよ。だから、いいシーンがギャグになっちゃうので(笑)でも最初、割とマグロは、本気で。

落合:
えーーー!?ホントですか?

山本:
あとは…カツオとか…

落合:
えっ、カツオはどっかからクレームきませんか(笑)大丈夫ですか?

山本:
いいシーンを台無しにしない魚の名前っていうのと、イサキってなんか名前っぽくない?ってことで、イサキになりました。よかったです(笑)

落合:
うんよかったよかった(笑)

山本:
あと、人魚の方は友達の名前全部あるんですけど、あの草津とか小網(こあみ)さんとか舟入(ふないり)さんとかいるんですけど、全部広島の地名の名前なんですよ実は。草津漁港とかあるんですよ。

落合:
舟入や小網は、広島には路面電車が走ってるんですけど、そこで駅名として

山本:
駅名としてもあります。

落合:
なので、もし広島の地図を見るような機会があったら、あ!って、見つけていただけたらと思います。はい、では次にお寄せいただいた質問に行きますね。 『「この男子、宇宙人と戦えます。」も「この男子、人魚ひろいました。」も、タイトルにとてもインパクトがありますけれども、これはどのようにして決まったのでしょうか?』という質問なんですけれども。

酒井:
ああなるほど。

落合:
では酒井プロデューサーにお願いしましょうかね。

酒井:
あはは、いや、タイトル見たまんまでねぇ。あの「宇宙人」も「人魚」もストーリーを物語っていて、単純に覚えやすくわかりやすいのと、インパクトがあること、あと続けていけたらいいなーという風に思っていたので「この男子、○○」にしました。

落合:
一番最初は、監督から仮で脚本が上がってきたときは違うのがついていたんですよね。

酒井:
そうですね、いつも企画書をいただくんですけど、その時は違うのがついていまして。それを僕の方で、一作目は「この男子。宇宙人と戦えます。」にさせていただきました。監督から来たものは「優しい世界の救い方」っていうタイトルだったんですが、それはサブタイで「僕らのセカイのまもり方」という方に生きています。

落合:
監督が付けられたタイトルは同じ名前の作品があったんですよね。

酒井:
そうですね、漫画作品等にもあって。あとちょっと、そのタイトルでは漠然としていて、ほわっとしてるかなと思ったので、もうちょっとインパクトをつけたくて、こういったタイトルにさせてもらってます。

山本:
「冷やし中華はじめました」みたいな感じの(笑)

落合:
一回聞いたら忘れられないっていうね、そこ大事ですよね。わかりました。では次の質問に行かせていただきます。『作品を作る上で影響を受けた作品とか作家さんはいらっしゃいますか?』ということなんですが、山本監督お願いします。

山本:
はい、新海誠監督というアニメーション監督の「ほしのこえ」という25分を一人で作った作品があるんですけれど、中学の頃それを観てすごい衝撃を受けまして、一人でアニメーションを作ることができるんだって思ってこの分野に進みました。すごい、それが影響を受けたことです。

落合:
もともと、漫画とラジオドラマが好きなんですよね?

山本:
そうですそうです。漫画とラジオドラマがすごい好きで、その漫画とラジオドラマが融合したのが自主制作アニメーションだ、みたいな。だからアニメっていうよりは、漫画が動く感じで。アニメにしては動かないし、漫画にしては動くけどっていう、丁度中間点みたいな作品を考えていて。

落合:
商業作品のテレビアニメなどとはちょっと違って、動き中心ではなく割と語りで伝えていくみたいなことですかね。

山本:
そうですね、漫画寄りで、漫画に音がついて動くっていう…

落合:
では、好きな漫画家さんとか好きな漫画作品は、どんなものがありますか?

山本:
漫画はすごくいっぱい好きなんですけれど「ガラスの仮面」がすごい好きです。あと「美味しんぼ」が好きです。

酒井:
なるほど(笑)

山本:
ああでもBL漫画もすごい大好きで、今市子さんとかヤマシタトモコさんとか、中村明日美子さんとか、河井英杞さんの「月曜日の約束」とか、すごくいっぱい好きな作品があります。

落合:
監督の部屋の壁一面が本棚ですよね。

山本:
そうですね、BL作品も本棚に入りきらず床に平積みとかで、何千冊あるんだろう…?部屋の床全部BLみたいな感じですね(笑)友達にオススメのBL貸してーっていわれると、大きなボストンバッグにぎっしり詰めて「オススメだよ!」って貸せるぐらいいっぱいあります。

落合:
それすごい重そうな愛ですね(笑)はい、では次の質問です。『「この男子、宇宙人と戦えます。」が第一弾、「この男子、人魚ひろいました。」が第二弾ということで「この男。」シリーズとなっているようですけれども、新作はあるんでしょうか。この映画を見てファンになりました。もしシリーズとして続編があるのであればぜひ見たいです。』というお声がきていますけども、酒井プロデューサー、いかがですか?

酒井:
そうですね、プロデューサーとして大変ありがたいお言葉だと思いますし、今回二作目までやらせてもらいましたので、皆様に引き続き応援していただけるようであればもちろん第三作もですね、作っていきたいと。

落合:
第三弾、第四弾と

酒井:
そうですね続けて

落合:
第五弾、第六弾と、ライフワークに!(笑)

酒井:
そうですね(笑)やっていけたらなと思っております!!

山本:
企画書もいろいろ出してまして、次はのっぺらぼうのBLやりましょうとか言ってるんですが

酒井:
そうですね。でも、のっぺらぼうはなかなか…(笑)

山本:
「顔がないのはアニメではちょっと」とか言われるんですよ。

酒井:
そしたら今度は監督が「透明人間でー」と言ってきて。それもちょっと姿が見えないので(苦笑)

落合:
それってアニメでどうやって描くんでしょうね。背景しか映ってない(笑)

山本:
人間顔だけじゃないんですよ!!

落合:
大事なこと言った!(笑)今大事なこと言ったけど、アニメではなかなか表現が、すごくチャレンジャーな…

酒井:
そんなわけで、現在迷走気味ではありますけれども、その中からもより良いものを探っていきたいなと思います。


落合:
山本監督の頭の中にはいろいろ、プランがあるということでみなさんもこれからを期待していただければと思います。それでは会場のみなさんからも質問をお伺いしたいと思うんですが、何かご質問があれば挙手をお願いいたします。

Q:
作品面白かったです。すごいくだらない質問なんですけど、プロデューサーさんのネクタイが洲と同じような…

(会場笑)

落合:
素晴らしい!(笑)気づいてくれた!

酒井:
あ!ありがとうございます!!結構最後まで流されちゃうかなって思ったんですが(笑)この寒空にね半袖でね、変なネクタイした。なんなんだろうって思われているのかと思って…いやありがとうございます!努力の甲斐ありましたね(笑)


落合:
去年実は有川の赤いネクタイで登場したことがあったんですども、最初に「この格好気づいた人―?」って言ったらシーンとなってしまって…(笑)

酒井:
そうですね去年は自ら発信でしたけども。なので自粛してたんですけど、ありがとうございます、気づいてもらえて。こっそり洲…分かりづらくって、変なオヤジになっちゃってねぇ。ありがとうございますホント、すみません(笑)

落合:
他に質問ある方~

Q:
キャラクターのデザインを起こすとき、どういうところを気をつけてキャラクターの絵を描かれているんですか?

山本:
最初はインスピレーションでばばーっと描いちゃうんですけど、イサキはすごい悩みました。

酒井:
そうですね、もともとイサキ短髪でしたしねー

山本:
短髪だとあまり人魚っぽくないという話になって…。いろいろ考えてやるんですけど、ひとつ気をつけるのは、アニメなので膨大な枚数書かなきゃいけないんですよ。なので手癖で描けるようになるかどうか。そこをちょっと気にしたりしています。あまり凝ったデザインにすると、作画するのが大変なんですよね。全部ひとりで絵を描いているので。なので、そこそこイケメンで、描きやすいっていう…。身も蓋もないんですけど(笑)

酒井:
身も蓋もないですね(笑)

山本:
イサキは最初、目がもうちょっと大きくて、目の中にお花のマークとか入ってたんですよ。で、もっと目がキラキラしてたんですけど、数カット描いたら、ちっとも顔がイケメンに描けなくて、よしキャラクターデザインを変えよう!ってなって。開始二ヶ月くらいで変わりましたよね。

酒井:
そうでしたね。鼻ですとか顔の輪郭ですとか徐々にかわっていくイサキがいましたね(笑)

山本:
洲は割と最初のデザインと変わらずに…でも最初やたら首が長かったりしてましたね。

酒井:
ほんと首がすごかったですよね。ちょっとお見せはできないんですが(笑)なんのスイッチ入っちゃったのかなって思いました。

山本:
デザインチックなものがかっこいいと思ってたんです。

落合:
イラストや静止画では美しくても、アニメーションでそれが動くとちょっと不思議な感じになりますよね。

山本:
描けることを意識しながら、あとやっぱり特徴を付けるのを意識します。洲だったらアホ毛。イサキのアホ毛はハートになってるんですよあれ。洲は髪の毛に点線もつけて、あんまり他のアニメで見ないものを表現したり。でも絵では結構、髪の毛に点線入ってる表現があるので、この表現をアニメでやりたーいと思って取り入れたりしています。あと特徴つけるために泣きぼくろとか。

落合:
カカシくんもね、結構特徴的な。

山本:
眼帯。絆創膏ですね。

落合:
それが取れるシーンに、意味がありますね。今回の洲も実はそこをさりげなく引き継いでいて。

山本:
そうですね。いつ、もう片目が見えるようになるのか!って感じですよね。

落合:
どこでそれが見えるようになるのかが、心情変化としてのポイントですよね。

山本:
そうです、だから次回作の主人公は両目隠すしかないのかなぁみたいな。

落合:
あれ?!また顔がない方向に(笑)どうしてもそっちいっちゃいますね。

山本:
そんなこと考えながら描いてます。

落合:
どうでしょう参考になりましたか? 他に何かご質問あれば

Q:
アニメーション作るのってすごく大変だと思うんですけど、ひとりでアニメーション作ろうって思った時に、不安だったりとか怖いなーと思ったりしたことはありませんでしたか?

山本:
ありますあります。完成するといいなぁって思いながら作るんですけど、割と不安だらけです。30分をがんばって一年かけて作っても面白くないって言われるんじゃないかとか、本当にこれ良くなるの?とか、完成した後どう言われるのも不安ですし、実際作業している中で、実力が足りなくて書けなくて、「わーっ」てへこむこともあるんですけど…。でも、アニメーション作品、イラスト、漫画でもそうだと思うんですけど、完成しないと終わらないと思ってるんですよ。作品を作り始めて、途中で絵がうまく書けないから、とか、話が面白くない気がするから、とかで途中で投げちゃうと、それっていつまでたっても完成しなくて、なんか自分のこと追っかけてくるような気がするんです。投げちゃった作品がずっと私を縛る気がして、例えば人魚だったら、人魚作り終えないと、本当の意味で次の作品にいけないと、割とずっと、作るときにそう思っていて。なので完成させることを目標に、不安と戦ってます。


ご来場下さった方々、質問をお寄せ下さった方々ありがとうございました!


(左)川内 洲役:梶 祐貴
(右)イサキ役:緑川 光

【収録を終えた感想をお聞かせください。】

梶:
不思議な温度を感じる収録でした。監督独特の演出を楽しみながら、熱く、また冷静に演じました。

緑川:
けっこう長丁場でしたが、ほぼ絵があったので、楽しくやらせて頂きました♪


【お互いのキャラクターの印象はいかがでしたか?】

梶:
カッコ良くて可愛らしい存在でした。一途な想いは、どんな壁も越えられるんだな…と、イサキに教えられました。緑川さんのお声とお芝居で、さらにイサキを魅力的に感じました。

緑川:
自分のキャラ:男の人魚!?(驚)
梶くん:ルックスがなんとなく本人と似ているような(笑)


【印象に残ったセリフやシーンはありましたか?】

梶:
全てです。リハーサルの映像を観た瞬間に、この作品に魅了されました。強いてあげるとすれば、洲が初めてイサキの前で感情的になり、号泣するシーンが印象的です。

緑川:
初めて出会った時に、拾って帰ってとかいうところ(笑)


【演じたキャラクターの自分と似ている点、違う点はありましたか?】

梶:
期待に応えようとし過ぎて自分の首を絞めていってしまうような所は、とても共感を覚えます。

緑川:
似ている→声(笑)
違う→人魚(苦笑)


【拾うとしたらどんな「男子」がいいですか?】

梶:
イサキがいてくれたら嬉しいです。洲でもいいかもしれません。

緑川:
拾いたくないです(>_<)


【観てくれる方へメッセージをお願いいたします。】

梶:
僕は、監督の才能に惚れました。その作品づくりのお手伝いが出来るよう、精一杯頑張りました。皆さんの記憶に残る作品になってくれたら嬉しいです。是非、ご覧ください。

緑川:
自分や梶クンは、個性的で独特な世界観に感心しながらアフレコしたんですが、皆さんはどう感じました?是非感想を聞かせてください下さい♪